膝の主な疾患
変形性膝関節症
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは、膝の軟骨が加齢や筋肉量の低下などによりすり減り、それに伴い痛みや脚の変形が生じる病気です。加齢、外傷、肥満、膝の使い過ぎなどが原因で発症し、最近では遺伝も関与していることが分かっています。脚の変形が膝に負担をかけ、痛みの原因となります。
初期には動作の開始時に現れる痛みがあり、進行すると階段の昇り降りや正座が難しくなり、日常生活に支障をきたすことがあります。女性に発症しやすく、関節が小さいことや筋肉の少なさ、ハイヒールの着用、閉経後の女性ホルモンの減少が影響していると考えられています。
変形性膝関節症になりやすい人
- ・肥満傾向のある人
- ・中高年以降の女性
- ・リウマチの既往がある人
- ・肉体労働やスポーツ(スキー、サッカーなど)の経験者
治療方法
変形性膝関節症の治療には、消炎鎮痛剤の内服や湿布による痛みや炎症の軽減が含まれます。ヒアルロン酸の注射により膝関節に潤滑油を補給し、運動不足による脚の筋肉低下を防ぎます。足あげ運動やボールを使った運動、温水プールでのウォーキング、入浴後のひざの伸ばし運動などの運動療法も効果的です。改善後も筋力維持が重要であり、進行が認められる場合は人工関節手術や骨切り手術が検討されることもあります。
予防
- ・食生活の見直しやダイエットで肥満を予防
- ・長時間の立ち仕事は避け、こまめに椅子に座る
- ・洋式トイレの使用を心掛け、正座やしゃがみ動作を控える
- ・ストレッチを積極的に行い、適切な準備運動をする
半月板損傷
半月板損傷とは
膝への衝撃を吸収する半月板(クッション)が損傷した状態です。損傷すると、膝の痛みやひっかかりが生じます。症状が進むと、痛みや腫れだけでなく、激痛を伴って動かせなくなる「ロッキング」という症状が現れることもあります。
代表的な症状としては
- ・膝のひっかかり感
- ・膝が曲げづらい
- ・不意に膝が抜けることがある
- ・膝に熱感やこわばりを感じる
- ・歩行時に鈍い痛みを感じる
があります。これらの症状があれば、一度ご相談ください。
原因
半月板損傷の原因としては、バスケットボールやサッカーなどのスポーツで、体重がかかった状態でひざをひねったり、強い衝撃が加わったりすることが挙げられます。また、半月板は加齢による劣化によっても損傷しやすくなり、高齢者の場合は日常生活の中でも半月板を損傷することがあります。初期に正しい治療を行わずに、長期間放置してしまうと変形性膝関節症を併発する可能性もあります。
治療方法
半月板損傷の治療方法には、保存療法と手術療法があります。保存療法では、装具(サポーター)やテーピングで患部を補助・補強し、消炎鎮痛剤の内服や塗布で、痛みや炎症を軽減させます。ヒアルロン酸注射も炎症を抑える効果があります。また、リハビリテーションを行い、膝に負担をかけないための筋力強化を図ります。これらの治療でも改善しない場合は、内視鏡による手術療法が検討されることもあります。
予防方法
半月板損傷の予防方法には、以下のことに気をつけましょう。
- ・正座やしゃがみ動作、階段などで膝に負担がかかることを避ける
- ・日常的にストレッチを行う
- ・運動前には十分な準備運動を行う
- ・膝への負荷が大きくなるので、体重管理に注意する